令状  
2010年4月5日
 令状は、裁判所または裁判官が、強制処分を命じ、あるいは許可するという判断の内容を記載した書面です。この判断は裁判の一種で、その内容を記載した書面は、裁判書の一種ということになります。この強制処分に令状を必要とする原則は、令状主義と呼ばれ、日本国憲法が要求しています。憲法は、33条で身体を拘束する逮捕の場合について、35条で住居のプライバシーや財産権を侵害する捜索・押収の場合について規定しています。憲法は、すべての強制処分について規定しているわけではありませんが、その趣旨を受けて刑事訴訟法は、すべての強制処分について令状を要求しています。それは、強制処分による人権の制限にあたって、その相当性、必要性について、事前に中立的立場にある司法当局の審査を要求する趣旨です。ですから、事前審査を要せず人権の制限を許容できる場合に例外が認められています。具体的には、犯罪を犯していることが明確である現行犯逮捕(刑訴法212条、213条)、逮捕に伴う捜索・差押え・検証(220条1、3項)勾引状・勾留状を執行する際の捜索・差押え・検証(126条、220条4項)、公判廷における捜索・差押え(106条)などです。令状による強制処分の執行にあたっては、原則として処分を受ける者に令状を示すことが求められています(73条1、2項、110条、201条1項、222条1項)。令状が、適正な手続で発付されたことを確認できるようにするとともに、処分の内容を示し、不服申立の機会を与えることを目的にしています。