伝聞証拠  
2009年10月5日
 被告人はすべての証人に対し審問(反対尋問)する権利を保障されています(憲法37条2項)。証人の供述内容が、その知覚−記憶−表現の各段階で正確なものかどうかを確認するためです。ところが、その供述が伝聞(又聞き)であったとすれば、元の供述を反対尋問で確認することができません。供述が書面として提出された場合も同様です。そこで、刑事訴訟法320条は、供述書面と伝聞供述を証拠とすることはできないと定めました(伝聞証拠排除の法理)。
しかし、これには広範な例外があり、実務上は検察官の提出する膨大な書証の扱いが問題となります。公判期日で検察官が取り調べ請求した書証について、弁護人は同意・不同意の意見を述べますが、同意した書証は証拠として提出が許されます(刑訴326条)。他方、不同意の書証は原則として提出されず、供述者の証人尋問を行いますが、供述者の尋問が不可能である場合や尋問結果が書面と異なる場合には、書面の必要性と供述内容の信用性の高さにより証拠提出が許される場合があります(刑訴321条〜328条)。
裁判員裁判では直接主義がより徹底されるため、書面を不同意として証人尋問を実施する場合が多くなります。