今回は推理小説です。
夫が家に帰ったら妻が死んでいた。しかし、夫がその犯人だとされて逮捕される。そして、犯行を認める「自白」をする。しかし、弁護士の説得で夫は「自白」を撤回する。そして、裁判では………。
このようにストーリーが展開していきます。推理小説ですから、読む人の多くは結末の意外さに惹かれます。したがってネタバレするわけにはいきませんが、筆者としては満足感を得ることができる小説でした。
この小説を読んで筆者が感じたこととして、人は嘘の自白をすることがある、たとえその先に重罪が待っていても嘘の自白をすることがある、ということがあります。そして、嘘の自白は取調官の熱心な、あるいは強引な説得による場合が多いのかもしれませんが、そうでない場合に被告人が嘘の自白をすることもある、ということもイメージを含ませることができました。
殺人事件が発生し、その被疑者が逮捕されると、多くの人はその被疑者は極悪非道な人間だと思います。しかし、かならずしもそうでない場合もあります。こういうこともこの小説は明らかにしてくれています。 |
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【書籍情報】 |
2014年4月、集英社から集英社文庫として刊行。著者は小杉健治さん。定価は本体600円+税。 |
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