<前回の続き>
思わず殴ってしまった酔っ払いが死んでしまった。起訴された被告人は正当防衛=無罪を主張。
被告人にもやりすぎた面はあるだろうし、無罪放免はいかがか、あたりが「普通の」人の感覚であるような気がします。この裁判員裁判で弁護人は「(被害者は)自業自得」という言葉を用いて被告人を弁護しました。裁判官・裁判員の多くは、そういう言い方はいかがか、被告人は全く反省していないのではないか、と感じたように思われます。しかし、裁判官・裁判員をギョッとさせ、固定観念にとらわれずに判断してもらうことも、裁判員裁判での弁護人の工夫になってきているようです。果たして裁判の結果は?
本書はこうした裁判員裁判の例を紹介する一方で、むしろ弁護人が淡々とした態度で被告人に配慮した判決を得た裁判員裁判の例も紹介しています。
裁判では法律や理屈が大事にされなければなりませんが、裁判員裁判では、市民である裁判員に納得してもらい、そしてその心をつかもうとする攻防が展開されるようになってきていることがよくわかります。
<つづく> |
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【書籍情報】 |
2013年10月、現代人文社から刊行。著者は多数の裁判関係の著書を持つ、フリーライターの北尾トロさん。定価は1,700円+税。 |
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