アメリカの刑事裁判は陪審制が採られ、被告人が有罪になるのは12人の陪審員全員の一致が必要となります。多数決ではないのです。このことだけでも少なくない日本人が驚くのではないかと思います。しかし、アメリカではこうして被告人が有罪になるにあたっては日本の裁判よりも慎重な審理が行われているようですが、それでも無実の人が間違って有罪とされ、中には死刑判決を受ける人が少なからずいるというのです。これまた驚きです。
本書に収載された伊藤和子弁護士の論文「米イノセンス・プロジェクトの発展から見た日本の課題」は、こうしたアメリカの刑事裁判の制度と現状とともに、いまアメリカで誤判救済のための「イノセンス・プロジェクト」の市民的なとりくみを背景に、多くの州で誤判究明委員会が設けられ、そこでの検討をふまえた刑事司法改革が進んでいることも明らかにしています。
本書にはアメリカの弁護士やカナダの法律学者の刑事司法改革に関わる論稿も収載されています。 |
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【書籍情報】 |
2012年9月、勁草書房から刊行。編著者は日弁連えん罪原因究明第三者機関ワーキンググループ。定価は本体2,300円+税。 |
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