立法提言も弁護士の役割 ―被災地での活動の経験から  
2015年1月5日
「3.11東日本大震災と弁護士の役割」(2014/12/20)
 「3.11東日本大震災と弁護士の役割 〜被災地での経験を踏まえて〜」と題する講演会が2014年12月20日、伊藤塾東京校(渋谷)で開催されました。
 講演者の小口幸人弁護士は2011年の東日本大震災当時、岩手県宮古市の宮古ひまわり基金法律事務所所長を務めていた経験をふまえ、被災地での弁護士活動や今後の弁護士の果すべき役割について話されました。
 小口弁護士は、震災直後は弁護士にできることがあるのかと無力感を感じたそうですが、市役所の危機管理課の職員とのやり取りから、被災者を支援する法律が存在し、それが被災者支援に役立つことを知ったとのことでした。そして、そのコピーを被災者が相談に行きそうな役所の窓口や社会福祉協議会、不動産会社、避難場所などに配ったそうです。
 小口弁護士はまた、避難所に相談所を設けることを思いつきました。周囲に反対の声がありましたが、避難所の管理者である校長と市の職員を説得して、3月18日には相談業務を始めました。全国の弁護士にも協力を呼びかけたところ、各地から弁護士が応援に駆けつけ、各避難所で相談活動が広がりました。
 新聞・テレビの取材や全国からの視察に対応し、現地の状況の発信に力を注いだ小口弁護士は、半年ほど経つと宮古市宛の義援金の分配委員や復興計画策定の委員も務め、活動の幅が広がりました。
 さまざまな活動のなかで小口弁護士は現行の法律の不備や不十分さを実感し、講演では立法提言も弁護士の重要な役割と強調しました。(T.S)