「いま司法は国民の期待にこたえているか」  
2014年6月30日
シンポ「我が国の民事司法の現状と課題」(6/20)
 6月20日、シンポジウム「いま司法は国民の期待にこたえているか 〜我が国の民事司法の現状と課題〜」(東京・よみうりホール)が開催されました。主催は、日弁連、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会で、共催が民事司法を利用しやすくする懇談会、後援は消費者関係や労働界・経済界などの団体でした。
 裁判員制度の導入や被疑者国選弁護制度の確立など刑事分野などでは進展があるとの評価もある今般の司法制度改革ですが、このシンポは国民が利用しやすい民事司法を目指すために何が必要かを議論するために開催されました。
 シンポでは、消費者、労働者、経済界、学者からの司法に対する評価や問題点の指摘がありました。議論では、今の民事裁判はお金や時間がかかるため、訴訟をあきらめてしまう人が潜在的多くいることがそれぞれから報告されました。その上で、労働界からは、連合の新谷信行氏が、労働審判制度は結果が早い、手数料が安いと、当事者から好評であると発言がありました。
 全国消費者団体連絡会事務局長の河野康子氏の発言も注目されました。消費者トラブルの被害総額が年6兆円にも達しているのに、そのうち弁護士に相談した割合は1%にも達していないと指摘しました。裁判を利用しない理由はお金や時間だけでなく、裁判沙汰のいわれるような悪いイメージもあり、勝つかどうかわからない、お金が取り戻せるかわからないという、見通しが立たない、という市民の感覚を述べられました。そして消費者問題の訴訟においては、消費者側が被害の客観的証拠で立証しなければならず、通常消費者が客観的証拠を保存することに無理があるという問題点をあげ、その場合、裁判所が事業者側に客観的証拠を強制的に提出させるようにすべきと提案し、注目されました。(T・S)