「裁判員裁判の今後のあり方は?」など学融的に研究  
2013年1月14日
「法と人間科学」公開シンポジウム

 法は何故守らなければならないのか? 冤罪は何故起こるのか? 望ましい被害者支援のあり方は? 裁判員裁判の今後のあり方は?
 1月12日、こうした問いに答えるために「法と人間科学」という新しい学問は何をすべきか、を考えるシンポジウムが開催されました(主催は「新学術領域研究『法と人間科学』」)。
 シンポでは唐沢かおり東大教授(心理学)の裁判員裁判に関わる報告などがありました。唐沢教授は、裁判員裁判で期待される「市民感覚」、裁判員の判断バイアス、プロの裁判官と合議することの裁判員の判断への影響、等々について報告・問題提起し、法学と心理学などが融合した研究の重要性と課題などを示しました。
 このほかに、石塚伸一龍谷大教授(刑事法)が罪と罰に関わる刑法思想の歴史的推移を概観しながら、また刑事手続きの実務の経験も紹介しながら、刑法理論(犯罪学・犯罪論・刑罰論)と人間科学(心理学)の学際研究の重要性を報告しました。指宿信成城大教授(刑事訴訟法)は犯罪者(対象者)の抱える問題を解決することによって再犯防止を目指そうとする介入的で治療的な発想に基づく「治療的司法」という新たな考え方と制度が広がりつつあることを紹介しました。
 「新学術領域研究『法と人間科学』」「実務家と研究者が協同し科学的知見にもとづく社会実装プラグラムを作成」することを目指していますが、裁判員裁判など司法制度の改革にあたっても大いに期待されます。