司法は身近になったのか? 司法改革10年 − 3/25(日)20時〜、BS11  
2012年3月12日
大出良知(東京経済大学現代法学部教授)
 21世紀を迎えるにあたり、法の支配の徹底を目指し、司法の機能を高めるための司法改革が進められることになりました。1999年、平成11年に、設置された「司法制度改革審議会」は、2年後の2001(平成13)年の6月には「意見書」をまとめ公表しましたが、昨年は、それから10年目の節目の年に当たっていました。ですから、様々な視点から司法改革の進捗状況を点検する機会が設定されてしかるべきでした。
 しかし、昨年6月は、なんといっても東日本大震災からの復旧・復興が、すべてに優先されるべき第一義課題でしたから、司法改革についてのトータルな視点からの点検の余地はなかったといってよいでしょう。もちろん、その中でも、震災関連の法律問題に、司法改革によって創設された法テラス(日本司法支援センター)と弁護士会が協力して対応してきたのをはじめ、裁判員裁判は着実に実績を上げ、検察審査会による強制起訴も話題を提供し、法科大学院問題も、法曹人口のあり方と関係し、関係者の間では大いに議論になってきました。
 本WEBサイトでも、可能な限り司法改革に関わって個別の課題について、現状と課題について、多くの方々にご発言をいただいてきました。しかし、さらに、トータルな視点からの点検ということでは必ずしも充分ではなかったかと思われます。
 ということもあり、司法改革の進捗状況について、可能な範囲で到達点を確認し、課題を整理する機会を設定できないかと考えてきましたが、この度、私の所属する東京経済大の主催で、以下のようなテレビ番組として議論をする機会を設けることができました。

  番組タイトル 司法は身近になったのか? 司法改革10年 
チャンネル  BS11(211ch)
放映日時 3月25日(日)午後8時−10時

 東京経済大学では、明治時代の財界の雄であり、ホテルオークラなどの創設者でもありました大倉喜八郎が、前身である大倉商業学校を開設してちょうど100周年を迎えることになりました2000年に、司法改革の動きを視野に入れ、法化社会の進展に合わせた人材養成を目指し、そのような司法をめぐる新しい社会状況を「現代」と位置づけ、「現代」を名称に冠した現代法学部を創設いたしました。
 そのようなこともありまして、現代法学部創設11年余を経過し、司法制度改革審議会意見書からも10年余を経過したところで、司法改革の到達点である現状と課題について議論する機会を主催することになりました。
 ご出席いただくのは、今回の司法改革に深く関わられてきた次の6名の方々です。

佐藤幸治氏:京都大学名誉教授・憲法学者・元司法制度改革審議会会長・元司法制度改革推進本部顧問会議座長。
但木敬一氏:元検事総長。司法制度改革審議会には、法務大臣官房長として、2006年から2008年までは、法務・検察の実務の責任者である検事総長として司法改革の推進段階に対応。
本林徹氏:司法改革の制度作りの時期であった2002年から2004年の2年間、日本弁護士連合会の会長として司法改革の推進に対応。
藤川忠宏氏:元日本経済新聞論説委員(司法担当)。定年退職後法科大学院に入学、現在弁護士。
丸島俊介氏:弁護士。元司法制度改革審議会事務局員。2008年から2010年まで、日本弁護士連合会事務総長。
古口章氏:弁護士・静岡大学法科大学院教授。元司法制度改革推進本部事務局次長・前日本弁護士連合会法科大学院センター委員長・元司法研修所刑事弁護教官(旧司法試験当時)。

 内容としては、意見書が三つの柱とした次の3点について佐藤元会長から「現状と課題」について問題提起を受け、議論することにしています。是非ご覧下さい。

@国民の期待に応える司法制度の構築(制度的基盤の整備)
   司法支援センター(法テラス)の創設 法律扶助の充実 被疑者国選弁護制度の創設 裁判所の体制整備 隣接職種の権限の拡充など
A司法制度を支える法曹の在り方(人的基盤の拡充)
   養成システムの改革 法曹人口の大幅増員 裁判官・検察官の大幅増員など
B国民的基盤の確立(国民の司法参加)
   裁判員制度の導入など
 
【大出良知さんのプロフィール】
九州大学法科大学院長などを経て、現在東京経済大学現代法学部長。専攻は刑事訴訟法、司法制度論。
『裁判を変えよう−市民がつくる司法改革』『長沼事件 平賀書簡−35年目の証言、自衛隊違憲判決と司法の危機』など著書多数。