日本国憲法と裁判官 ―戦後司法の証言とよりよき司法への提言  
2011年2月21日
佐藤博和さん(憲法フェスティバル実行委員)

 1950年代から60年代に任官した戦後第一世代の元裁判官30.人の講演記録。日頃、裁判官の生の声を聞くことのできる機会は少ないので貴重な証言集です。
  編者である守屋克彦元裁判官は、「戦争体験や戦後教育の中で、貴重なものと理解してきた日本国憲法の価値を、実際に自分の手で裁判に生かすような『憲法の番人』の仕事をしてみたいという若い情熱」をもって裁判官を目指しました。
  年代に多少の開きはあるものの、子どもの時に戦争を経験し、戦後の日本国憲法を学び、憲法への強い思いと司法への高い志をもって裁判官となり、そして70年代には裁判官独立の危機と司法反動の時代を若手の裁判官として経験した方々が、それぞれに憲法や司法に抱いた志、裁判官としての経験、そして今も持ち続ける思いを語っています。それも1人2人ではなく、30人が語る戦後裁判官史は迫力があります。
  固いテーマではありますが、講演録なので読みにくくはありません。本屋や図書館などで見かけたら、一人分でも読んでみると、日頃没個性的に見える裁判官の顔が違って見えてくるかもしれません。

*「2011年度憲法フェスティバル通信 第2号」(2011年1月28日発行)より、実行委員会のご好意により転載させていただきました。2011年度憲法フェスティバルは5月28日(土)、日本教育会館にて開催されます。憲法フェスティバルのHPはこちら

 
【佐藤博和さんのプロフィール】
憲法フェスティバル実行委員。
1964年東京生まれ。
大学卒業後メーカー勤務を続けるが、2003年のイラク戦争への疑問をきっかけに憲法運動等に関わるようになる。憲法フェスティバル実行委員として現在は5月28日のイベントに向け準備中。