覚せい剤取締法  
2010年2月15日
 この法律は、薬物取締法令の中心に位置し、「あへん法」、「大麻取締法」、「麻薬及び向精神薬取締法」とあわせて薬物4法とも呼ばれ、「覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うこと」(第1条)を目的にしています。太平洋戦争敗戦後のヒロポンと呼ばれた覚せい剤濫用の深刻化に対応するために1951(昭和26)年に制定・施行され、その後、何度も処罰範囲の拡大や重罰化が目指されてきました。覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入等を全て原則としては禁止し、例外的に許される場合を厳格に限定する方法で取り締まることにしています。最も重い罰則が科される可能性があるのは、「営利の目的」で「覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した」場合です。すなわち、例外として認められている正当な理由がないのに、国内でだけでなく、国外においても、覚せい剤を輸出入したり、製造したりした場合です。覚せい剤を流通させることになる最も重大な原因行為と考えられているからであり、最高刑は無期懲役です(第41条2項)。そのため、この場合には裁判員裁判の対象事件になっています(裁判員法第2条1項1号)。