強制わいせつ罪  
2010年2月8日
 刑法176条は「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する」と定めています。他方、13歳未満の男女に対しては、たんに「わいせつな行為をした者も、同様とする」と定められていて、暴行・脅迫を用いなくても強制わいせつ罪が成立します。
強制わいせつ罪は強姦罪と同じく個人の性的自由を侵害する犯罪であり、強姦罪が姦淫行為を対象とするのに対し、強制わいせつ罪は姦淫以外のわいせつ行為を対象とします。具体的には、性器や乳房に触れる行為、接吻、抱擁(抱きつき)等の性的行為が被害者の意に反して行われたときが対象となります。
手段としての暴行・脅迫については比較的軽い程度のものも含むと理解されており、強姦罪の場合に被害者の反抗を抑圧する程度の強度の暴行・脅迫が必要とされるのと異なっています。これは対象となるわいせつ行為が姦淫と違って比較的軽度の暴行・脅迫でも実現できるからです。ただし、こうした軽度の暴行・脅迫にも至らない程度の場合(軽く触れる等)は強制わいせつは成立せず、軽犯罪法や迷惑防止条例で取り締まりを受ける対象となります。
いわゆる「痴漢」行為の多くは軽犯罪法や迷惑防止条例の対象となりますが(電車内の痴漢等)、手段として暴行・脅迫が用いられたと認定されれば強制わいせつ罪で処罰されることになります。