共犯  
2010年1月11日
 広い意味では、2人以上の人が犯罪の実現に関与する場合全てを指しますが(広義の「共犯」)、一般的には、1人の人が犯罪を実行することを予定して規定されているにもかかわらず(例えば、刑法199条の、「人を殺した者は、……」という規定は、1人の人が人を殺したことを前提とする規定です。)、この犯罪に、2人以上の人が関与している場合をいいます(狭義の「共犯」)。狭義の共犯は、さらに、共同正犯、教唆犯、幇助犯に分類されます。講学上は、教唆犯と幇助犯だけを、共同正犯と区別して「共犯」と呼ぶのが一般的なのですが、実務上、教唆犯や幇助犯が起訴、処罰される例は少なく、報道などで「共犯」という場合は、ほとんど共同正犯を指すといっていいでしょう。
共同正犯とは、2人以上の人が共同して犯罪を実行することをいいます。そして、判例上、実際に犯罪行為自体を行っていない人でも、犯罪の共謀に加わるなど、犯罪遂行に重要な寄与をした人は、共同正犯とされるという扱いが定着しています。何人かで人を殺すことを共謀し、そのうちの何人かが実際に人を殺せば、共謀に加わった人全員が殺人罪の共同正犯となる場合があるということになります。
教唆とは、特定の人に特定の犯罪を実行するよう決意させることをいいます。Aという人がBという人に、ある人を殺すようにそそのかし、Bが実際にその人を殺せば、Bが教唆犯ということになります。
幇助とは、実際に犯罪を実行する以外の方法で、犯罪の実行を容易にさせることをいいまず。凶器の貸与、資金の提供などの物質的方法だけでなく、助言などの精神的方法でもかまいません。AがBにピストルを貸して、Bが人を殺せば、Aが幇助犯ということになります。