求刑  
2009年9月21日
 検察官は、証拠によって被告人が犯した犯罪行為と、どの程度の刑罰を科すべきかに関わる立証をしなければなりません。しかし、個々の証拠は、通例、全体を証明するものではありません。ですから、検察官は、証拠調べが終了したところで、各証拠によってどのような証明ができたと考えるか意見を述べることになっています(刑事訴訟法293条1項)。それが「論告」と呼ばれます。その際、科すべき刑罰について意見を述べることを「求刑」といいます。刑事訴訟法は、求刑すべきことを規定しているわけではありません。刑法も、科すことができる刑罰の幅は示していますが、科すべき刑罰を決める指針を示しているわけではありません。それで、求刑が、裁判所が刑罰を決定する際、事実上の指針になってきました。しかし、求刑を決める基準が法定されているわけではありません。検察内部には基準があるともいわれていますが、それが明らかにされたことはありません。結局、科学的根拠があるわけではなく、経験的蓄積によっているだけだと思われます。大きくは犯罪の抑制と被告人の改善更正という二つの要素によって決めていると思われます。いずれにせよ、裁判員が従わなければならない絶対的重みがあるわけではありません。