書籍『日本人と裁判 −歴史の中の庶民と司法』(その4) 筆者:H・O
2013年6月3日
その1その2その3からの続き>

 こんにちの日本の司法制度は明治維新後にヨーロッパの制度をもとに築かれました。
 1871年(明治4年)、司法省が設けられ、翌年初代司法卿に江藤新平が就任しました。江藤は司法権を立法権・行政権から独立させることを構想しましたが実現せず、司法省が裁判所を統括することになりました。その後大審院が創設され(1875年)、近代的な司法制度が始まることになりましたが、司法行政権は依然として司法省に残されました。
 明治初期には裁判官を養成する司法省法学校が創設され、代言人規則の制定などによってこんにちの弁護士制度の基礎も築かれました。
 筆者・川嶋四郎教授は江藤新平の「法の支配」や裁判官の独立への問題意識・思いについても紹介しています。

<つづく>
 
【書籍情報】
2010年、法律文化社から刊行。著者は川嶋四郎・同志社大学教授。定価は本体2,500円+税。