論考「司法問題(法律時報・学会回顧2012)」(その1) 筆者:H・O
2013年1月14日

 「法律時報」2012年12月号の「学会回顧」の中の「司法問題」です。2011年10月から2012年9月までに公表された司法問題の論考が紹介されています。その中から興味深く思われた論考紹介を案内します。
 筆者である石田京子・早大准教授が紹介している論考の一つに、須網隆夫「法科大学院教育と司法修習:新司法修習・弁護修習担当者アンケートの文責から」(「特集/司法制度改革審議会意見書の10年(3):司法修習のいま」ロースクール研究(9)があります。それは新司法修習(弁護修習)の指導経験を有する全国の弁護士を対象とするアンケート結果を紹介していまおり、そこでは、指導弁護士が総じて修習生の能力を高く評価している一方で、法科大学院教育には否定的な意見が多いことが指摘されているとのことです。そしてそれは、弁護士集団の内部に、法曹養成に対する一致点がない結果であると記述されているとのことです。法曹養成教育のあり方を考える上でポイントとなる興味深い分析・指摘だと思います。
 ここでは、当ページでもお知らせした「法曹の質」研究会(編)『日本人の弁護士イメージ(JLF叢書(8)』(商事法務)についても、「弁護士に対する一般人のイメージとその背景にある構造を探求したものであり、弁護士と一般市民の関係を捉える興味深い分析である」と紹介しています。
 青山学院大学を中心とする研究プロジェクトによる司法問題に関わる研究成果も注目されると紹介されています。

<つづく>