書籍『裁判員と死刑制度』(その2) 筆者:H・O
2012年8月6日

 前回、この本に収められた講演録「裁判員制度とこれからの課題(伊藤和子)を紹介しました(こちら)が、今回はアムネスティ・インターナショナル日本事務局長(当時)である寺中誠さんの講演録「死刑制度はいらない」を紹介します。
 人類は近代に入り、残虐は刑罰をなくす方向に転換し、そしていまでは、多くの国で死刑制度そのものを廃止するようになってきています。国連でもこの方向性が承認されるに至っています。日本では「国民の支持」を理由に死刑制度が残されていますが、寺中さんは死刑制度廃止に向かう国際的な同行をわかりやすく説明しています。
 そして、多くの冤罪を生み出してしまっている日本の刑事司法の現状、必罰化・厳罰化の必要性を説く報道に偏しがちなマスメディアの現状などを批判しつつ、寺中さんは、人権の視点から死刑制度を廃止する必要性を学生たちに訴えています。

<つづく>

 
【書籍情報】
2010年、新泉社から刊行。著者は伊藤和子弁護士と寺中誠・アムネスティ・インターナショナル日本事務局長(当時)。定価は1,200円+税。