講演録「日本国憲法と裁判官 −司法改革までの歴史的視点から」 筆者:H・O
2012年1月9日

 2001年に出された司法制度改革審議会意見書にもとづく今般の司法制度改革(司法への国民参加、法曹養成制度改革、など)の評価には賛否両論がありますが、それは司法制度をめぐる歴史もふまえて議論することも肝要でしょう。
 2010年に刊行された『日本国憲法と裁判官』で30人の元裁判官が1970年頃の「司法の危機」前後の裁判所をめぐる状況を証言しました。その出版記念講演会での大出良知教授の講演は、戦後の日本国憲法のもとでの司法制度改革の内容と意義、「司法の危機」以前と以後それぞれの裁判所・裁判官をめぐる動向、今般の司法改革に至る背景事情等々を歴史的に分析しながら、今般の改革を評価・分析するものとなっています。とりわけ、1980年代頃の裁判所をめぐる問題状況をあぶり出しながら、それが今般の改革に結びついていること解き明かします。一連の分析は決して評論家的なものではなく、大出教授の問題意識と実践とも結びついて生き生きと語られていることもこの講演の特徴です。
 この講演録は「法学館憲法研究所報」第4号(2011年1月発行)に収載されています。