書籍『最高裁判所は変わったか ― 一裁判官の自己検証』 筆者:H・O
2011年12月12日

 司法制度改革審議会が2001年に意見書をまとめ、その後の司法制度改革がすすめられた時期、2002年から2006年にかけて最高裁判所判事を務めた滝井繁男弁護士の書です。従来違憲判決を出すことには慎重だった最高裁判所はこの期、いくつかの違憲判決を出しました。また、国民の側に立つ判決も増えたと言われ、“最高裁判所が変わった”という評価があります。弁護士会の役員として司法改革を唱えていた滝井弁護士が実際に最高裁判所判事に就任し、最高裁判所の判断の改革を目指した経験にもとづく証言となっています。今般の司法改革を語る上で欠かせない書の一つと言えるでしょう。実際にたずさわった裁判のことにも多くの言及があり興味深い内容となっています。また、裁判に通暁する元同僚とのやりとりは、それを専門的に深めています。
 憲法判断についての最高裁判所の役割とその実際についても、具体的な問題点と課題を提起しています。

 
【論文情報】
2009年、岩波書店から刊行。著者は滝井繁男弁護士(=元最高裁判所判事)。定価は本体2,800円+税。