論稿「判断見直し迫られる司法 −浜岡原発控訴審で“原子力村村長”斑目氏の再尋問も」 筆者:H・O
2011年9月12日

 浜岡原発差し止め訴訟・控訴審の口頭弁論が約1年ぶりに再開されました。1審の静岡地裁では、原告・住民側が原発の震災対策の不備を具体的に指摘しても、被告・中部電力側の証人となった斑目春樹・東大教授(当時。現在内閣府原子力安全委員会委員長)が、要するに“多少安全性に不安があっても原発はつくる”と証言し、裁判官もその主張を追認しました。この裁判所の姿勢は静岡地裁に限られず、原発関連訴訟で住民は“20連敗中”とのことです。
  福島第一原発事故によって、奇しくも原発差し止めを求めた住民たちの指摘の正しさが立証されました。斑目氏もこれまでの自分の証言は間違っていたと認めるに至っています。これまで多くの原発がつくられ、挙句の果て福島第一原発事故を起こした責任は電力会社と政府にありますが、司法もまたこうした政策の推進に一役買ってきました。この裁判の河合弘之弁護団長が「裁判官はゼロからの判断を」と唱えています。まさにタイトルにあるように「司法」もまた「判断見直し迫られる」状況になっています。
  「週刊金曜日」9月2日号に掲載された、ルポライター・星徹さんの論稿です。