対談録「激論 元検事総長に検察改革を問う」 筆者:H・O
2011年5月2日

 ジャーナリスト・江川紹子さんが但木敬一・元検事総長に検察改革を質しました。厚生労働省の村木局長が逮捕された事件(裁判で無罪が確定)で前田・主任検事が証拠のフロッピーディスクを改竄したことが明らかになり、この事件を契機に、法務省に「検察の在り方検討会議」が設けられました。江川さんと但木さんはその委員として会議に出席してきました。その経緯をふまえ、江川さんがあらためて但木さんに本当に求められる検察改革を迫る対談となっています。
  焦点となる課題は、取調べの可視化です。江川さんは但木さんに対して可視化の実現を求めますが、但木さんはただちに実施することに難色を示します。その論戦を素直に読めば、江川さんの主張に軍配を上げる人が多数を占めるでしょう。ところが、取調べの可視化がただちに実現する見通しは立っていません。その背景には、やはり司法に対する国民的な関心がまだ十分に高まっていないということがあるのではないでしょうか。この対談録を読むにつけ、あらためて痛感することになりました。

この対談録は雑誌「文芸春秋」2011年5月号に収載されています。