書籍『良心的裁判員拒否と責任ある参加 −市民社会の中の裁判員制度』 筆者:H・O
2011年2月7日
 2009年から始まった裁判員制度は3年後には見直しが行われることになります。裁判員制度は順調にスタートしたとの評価が多いようですが、なお否定的な評価もあります。約10年前から始まった司法制度改革の最大の目玉ともいわれ、多くの市民が関心を寄せるこの制度について、冷静かつ積極的な議論を広げたいものです。そのように考えた時、裁判員制度に関わる本が数多く出版されている中でも、この本は注目されるべき本の一つだと思われます。
  この本は、国民に裁判員になることを拒否することを呼びかけるものではありません。むしろ裁判員として裁判に参加するということについて真剣に考えようと呼びかける内容となっています。そして真剣に考えた上で辞退することはあり得るとし、一方で、参加する場合はまさに責任を持って裁判にあたろうと提起しています。著者=大城聡さん(弁護士)は国民が司法に参加する意義を十分に理解し、それを実効化させる立場に立ち、国民が責任を持って司法に参加するためにも良心的裁判員拒否権が保障されるべきことを説いているのです。
  著者である大城聡さんは、裁判員裁判の状況をウオッチし、その充実のための課題を積極的に提起する「裁判員ネット」を立ち上げ、地道で精力的な活動をすすめています。
 
【書籍情報】
2009年9月、公人の友社から刊行。定価は本体1000円+税。著者自らの案内はこちら